そこはかとなく 書きつくれば

*沼の中からこんにちわ*

舞台「エレファント・マン」によせて

ジャニーズWEST小瀧望さん主演の舞台、「エレファント・マン

配信で拝見しました。

世田谷パブリックシアター×東京グローブ座 『エレファント・マン THE ELEPHANT MAN』 | 主催 | 世田谷パブリックシアター (setagaya-pt.jp)

 

ケンダル夫人を演じられた高岡早紀さんもおっしゃっていましたが、まずはこんな世の中で、誰一人かけることなく千秋楽まで走り抜けられたこと、本当に良かったなと思います。

こんな世だからこそ、配信というコンテンツで私も楽しませてもらえ、それはなんだか皮肉な感じもしますが、とてもありがたかったです。

 

細かな内容やストーリーは割愛して、思った事をつらつらと。

 

 

エレファント・マンに触れて改めて考えたのは、見た目や思考が"普通"であることの正義と、その"普通"って一体なんなのかという、今この世にも通じる大きな、永遠の、ヒトの課題のようなもの。

小瀧くんがメリックを生きて表現してくれたこの課題は、たぶんずっと考えていかなければならないんだろうなと。

 

自分と違うもの、自分が正義だと感じるものの外に手を差し伸べること。

果たしてそれは本当の優しさや愛なのか。そんな自分の思考に酔っているだけじゃないのか。

闇落ち(と言わせてください)したフレデリック先生、近藤さんの凄みを見ながら、改めてそんな事を思いました。

 

ふと自分の人生と重ねる瞬間もたびたび訪れ、分かっていながら押し殺したりかみ砕いている、自分の中にある嫌いな考えと向き合ってみたり。

 

演出や表現に様々な解釈があるだろうなという場面も多く、一度では咀嚼しきれないけれど、少しでも触れた上でもう一度見るには、受け取り手の色々な感情の整理が必要な作品だなと。それだけの深さが詰まっていました。

 

 

そして、小瀧くんがメリックを生きる姿に、とても心動かされました。

彼の事は関西グループの仲間としてお茶の間からすこぉし近づいて応援しているぐらいの、何も知らないに等しいわたしです。

2016年の"世界一難しい恋"での自然なお芝居は心に残っていて、シュッとしたかわいい器用な子が、かわいい後輩を真摯に演じられているな、という印象でした。

 

そんな小瀧くんが舞台をやると聞いた当初、あのシュッとしたシルエットはきっと舞台映えするだろうなぁ、とぼんやりと思っていました。

 

一幕が始まり冒頭16分頃、「ベルギーで儲けるつもり。楽しみだな、楽しみっていうのは、幸せ、幸せって意味なんだよ」とメリックが語った時、その溢れ出る内面の純粋さにすでに心打たれ、以降の物語にすっと引き込まれてしまいました。

他にもたくさん届くセリフがあったのに、なぜかここがとても印象に残っています。きっと自分の中で、メリックの純粋さがはっきり形作られた瞬間なんだろうと思います。

 

メリックを生きてこのセリフを語る小瀧くんをみて、彼の器用さとその後ろに見える努力の道筋みたいなものに、ただただ感動してしまいました。

 

近藤公園さん演じるフレデリック先生の揺れ動き、変化の様も圧巻。

変化と言ったけれど、その実当初からフレデリックの背景にその思考をにじませていたように感じるのは、さすがの一言。

高岡早紀さんの品と知性のある妖艶さ、演者の皆さんが何役もこなされることに気づかないほどの変幻さ。どれもとても素晴らしかった。

 

 

田舎育ちで舞台を嗜むDNAが備わってネェ、田舎を出て都会に住んでもチケットが当たらネェ、当たっても劇場での振る舞いや楽しみが分からネェ、そんなわたしにとって久しぶりに触れられた舞台が、配信のエレファント・マンで良かったです。

 

 

この舞台を生きられた方々、それに触れた方々にとって、大切な作品でありますように。

小瀧くん、カンパニーの皆様、本当にお疲れさまでした。

素晴らしい作品を届けてくださり、ありがとうございました。

 

 

すず。